【 狂犬病について 】
狂犬病はすべての哺乳類に感染することが知られており、もちろん人も例外ではありません。
主に狂犬病に感染した動物に咬まれ、唾液中に排出されるウイルスが傷口より体内に侵入することにより
感染します。
狂犬病は日本、英国、オーストラリア、ニュージーランドなどの一部の国々を除いて、全世界に分布します。
つまり、海外ではほとんどの国で感染する可能性のある病気です。
世界保健機構(WHO)の推測によると、世界では年間におおよそ5万5千人の人が亡くなっています。また、
このうち3万人以上はアジア地域での死亡者と言われています。
【 症状について 】
狂犬病に感染した人は、強い不安感、一時的な錯乱、水を見ると首(頚部)の筋肉がけいれんする(恐水症)、
冷たい風でも同様にけいれんする(恐風邪症)、高熱、麻痺、運動失調、全身けいれんが起こります。
その後、呼吸障害等の症状を示し、死亡します。
狂犬病は感染してから発症するまでの期間(潜伏期)が一般に1ヶ月から3ヶ月、長い場合には感染してから
1年から2年後に発症した事例もあります。なお、発症前に感染の有無を診断することが出来ません。
【 クチンについて 】
狂犬病は発病すればほぼ100%が死亡する病気です。海外ではオセアニアなど一部を除き、イヌだけでなく
キツネ、アライグマ、コウモリなどの動物に咬まれることによって感染する危険性が高く、長期滞在、研究者など
動物と直接接触し感染の機会の多い場合や、奥地、秘境などへ渡航ですぐに医療機関にかかることの
出来ない人におすすめするワクチンです。
ワクチンは4週間隔で2回接種し、さらに6ヶ月から12ヶ月後に3回目を接種します。
3回のワクチン接種後、6ヶ月以内に咬まれた場合には0日(咬まれた日)、3日の2回の接種が必要です。
また、6ヶ月経過後に咬まれた場合には、
0日、3日、7日、14日、30日、90日の6回のワクチン接種が必要です。
【 狂犬病の流行国に渡航する際に注意すること 】
狂犬病の流行地域に渡航する場合であって、動物との接触が避けられない、又は、
近くに医療機関がないような地域に長期間滞在するような方は、渡航前に予防接種を受けることを
お勧めいたします。
渡航中に狂犬病に感染しないようにするためには、むやみに動物に近づかないことが重要です。
万が一、滞在中に犬等に咬まれた場合には、
・すぐに傷口を石鹸と水でよく洗いましょう
・現地医療機関を受診し、傷の手当と狂犬病のワクチン接種を受けましょう
・帰国時に検疫所(健康相談室)に申し出しましょう
※日本では1970年以降狂犬病の発生はありませんが、2006年にフィリピンで犬に咬まれ、
帰国後狂犬病を発症して亡くなる事例がありました。
【参照リンク】
厚生労働省:http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou10/07.html
厚生労働省検疫所:http://www.forth.go.jp/useful/vaccination.html
Last update: 2014/12/26 Copyright(C) Jyunshinkai incorporated medical institution